大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(オ)1195 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人弁護士鈴木透の上告理由第一点について、

本件土地はa川南岸沿いの土地であつて、もと、本件土地並びに道路を隔ててそ

の南側にある宅地三六五坪の地上には被上告人使用の倉庫が存在していたが、昭和

二〇年三月の空襲により焼失し、爾来焼跡のまま放置されていたところ、セメント

販売並びにセメント瓦等建築材料の製造販売を営むDが昭和二二年三月一一日被上

告人から本件土地並びに右宅地三六五坪をセメント瓦並びにその材料蔵置の目的の

みに使用する約束の下に賃借し、なお同年九月二〇日右宅地三六五坪の南側に接す

る同番地上所在倉庫一棟を上告人の営業上の商品蔵置の目的に使用するため賃借し

たこと、そして、Dは本件上地並びに前記宅地三六五坪を整地し且右賃借建物を修

理の上これをセメント瓦製造工場に使用し且つ前記三六五坪の西部に事務所用とし

て木造建物一棟を建築し、本件土地上には建築材料蔵置の目的で本件仮設建物三棟

を建築し、その余の土地はこれをセメント瓦、スレート煉瓦、土管、砂利等の建築

材料の置場として使用していたこと、然るに昭和二九年一一月一日に至り当事者合

意の上右宅地三六五坪並びに右南側の地上建物の部分の賃貸借契約を解約し、Dは

右宅地並びに建物を返還し同日以降本件土地についてのみ賃貸借を継続することと

なつたこと、以上の各事実認定(但し右賃貸借の合意による一部解除の点は当事者

間に争がない)、は原判決竝びにその引用にかかる第一審判決挙示の証拠に照し首

肯でき、以上の事実に基づきDにおいて前示三六五坪及び本件土地上に事務所並び

に倉庫等附属の建物を建設したとしても、それは前示のような土地使用の目的のた

めに従として使用されていたに過ぎないからこれを以つて本件土地に関する賃貸借

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は借地法一条にいわゆる建物の所有を目的とするものとは云えず、いわゆる一時使

用の目的のためにのみ約定されたものであるとした原判決並びにその引用にかかる

第一審判決の判断は正当として是認でき、その判断の過程に所論違法のかどあるを

発見できない。すなわち、所論は叙上と反する見解の下に原審の専権に属する証拠

の取捨判断並びにこれに基づいてなされた原審の自由な事実認定を非難するに帰す

るものであつて、採るを得ない。

同第二点について、

原判決がその示した理由の下で被上告人の判示解約権の行使は権利らん用と目す

るを得ないとした原判決の判断も亦正当であつて、これに反する所論は独自の見解

というを憚らない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い裁判官全員の一致で主文

のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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